妊活のために仕事を休職するときに、知っておきたいコト

今回は、仕事をしながらの不妊治療を続けられているFさんの、
「妊活しながら休職することへの不安」について、取り上げたいと思います。
Fさんのお悩みはこちら。

仕事をつづけながら不妊治療を2年続けています。
ひんぱんに休まなければいけなかったり通院のタイミングで急な休みが必要になったりして時間の調整も難しいし、周りにも迷惑がかかってしまいます。
上司に相談して休職を検討していますが色々と不安を感じてしまいます。
―休職期間はどうやって決めたらいいでしょうか?
―妊娠できたら、休職中でも育休はとれるのでしょうか?
―妊活をあきらめたら、復職はできますか?
―休職中、健康診断を受けたり、会社の複利厚生を使ったりできるのでしょうか?
Fさんのお悩みに回答しながら、あわせて、制度の状況や今後の方向性などもご紹介していきますね。
関連動画:「妊活(不妊治療)で休職してしまったときは:傷病手当金について」もよかったらご覧ください。
妊活(不妊治療)で長期間休職をすると、「傷病手当金」をもらえる可能性があります。その内容や注意点についてFPが解説しています。 (2020年2月現在の情報で作成しています。)
動画へのリンク: 妊活(不妊治療)で休職してしまったときは:傷病手当金について
休職できる制度がある会社はまだまだ少ない
まず、Fさんの場合、休職することを相談できる上司がいることがラッキーな状況と考えられます。
こちらの記事でも少しご紹介していますが
↓↓
仕事と不妊治療の両立が困難なために働き方を変えた人(2,232人)の中で、「休職」した人は全体の9.6%というアンケート結果が出ています。
一方、やむなく退職した人は50%以上です‥。
少しずつ認知されてきてはいるけれど‥
ここ何年かで妊活という言葉や不妊治療はだいぶ世の中で認知されてきました。
ちょっと前ですが深田恭子さんのドラマも話題になりましたね。
2019年10月には、松重豊さんと北川景子さんがご夫婦役で、男性不妊治療をテーマにした映画が公開されますね―。
楽しみです♡
話がそれましたが…。
そう、妊活は社会問題として取り上げられるようになってはきていますが、残念ながら、まだまだ妊活を理由に堂々と会社を休めるような会社は少ないのが事実です。
Fさんのお勤め先の規模やルール、働いている人たちの考え方などによりますが、Fさんにその会社で継続して働く意思があって、Fさんの状況を理解して、休職という選択肢を認めてくれる職場なのだとしたら、甘んじて受けてよいのではないかと思います。
その場合、ほとんどの場合が「無給」になってしまうとは思いますが、復職できるというメリットを考えると利用できるのならラッキーと考えて良いと思います。
休職という選択肢がなく、退職や転職を選ぶ人も多くいますので…。
ちなみに、出産・育児休暇のように実際に、不妊治療を理由とした休職を制度として認められている会社は「あります」。
形としては、
・不妊治療休職制度(体外受精、顕微授精を行う場合、最長1年間、休職が可能)
・出生支援休職制度(不妊治療を目的として、最長1年間休職が可能)
・失効年休の積立休暇制度(失効した年次有給休暇を積み立て、不妊治療等のために特別休暇 (有給休暇)として利用できる制度)
と、ちゃんと休暇がとれる場合や
・フレックスタイム制度
・テレワーク制度
のように、働く時間を調整しやすくする制度を積極的に取り入れている場合もあります。
これらはまだまだほんの一部の会社です…。
が、今後増えていくことは予想されます。希望の光ですね!
休職中の産休・育休や複利厚生について
休職というのは、労働基準法で保障されているお休みではありませんから、妊活で休職できたとしても、休職の期間やその間の給料の支払い、社会保険料負担などについては会社の規則などに従うことになるでしょう。
(病気やケガを理由にした休職は傷病手当金があります。)
福利厚生も同じように考えられます。会社のルールに従うことになるでしょう。
また、健康保険組合で実施される健康診断などは加入資格が継続されているのであれば、受けることができると考えられます。
一方、産休及び育児休業というのは、それぞれ労働基準法、育児介護休業法によって定められたものです。
会社に在籍している以上、法が優先されますから、会社としては産休及び育休をとらせなければならないと考えることができます。
産前休暇は、原則として出産予定日の6週間(42日)前からですから、妊活を理由に休職して、休職中に妊娠した場合体調などの状況にもよるとは思いますが、産休に入るまでの期間は復職することになるでしょう。
「不妊治療連絡カード」をご存知ですか?
「不妊治療連絡カード」をご存知ですか?
「不妊治療連絡カード」は、厚生労働省のホームページに掲載されています。
説明には、こう書かれています。
「不妊治療連絡カード」は、不妊治療を受ける、今後予定している従業員が、企業側に、不妊治療中であることを伝えたり、 企業独自の仕事と不妊治療の両立を支援するための制度等を利用する際に使用することを目的として作成したものです。
企業や職場に、仕事と不妊治療の両立に関する理解と配慮を求めるためのツールとして、又は、仕事と不妊治療の両立支援 制度を利用する際に医師又は医療機関が発行する証明書等として、企業や職場と、仕事と不妊治療の両立を行う従業員の方を つなぐツールとしてお役立てください。
『不妊治療中は色々と大変なので、どうかご理解・ご協力くださいね』ということを伝えるためのメッセージカードのようなものです。不妊治療連絡カードは、医療機関で記載してもらって、会社に提出します。
自身の言葉では伝えるのが難しいと考える方は、ぜひご利用を検討してみてくださいね。
こちらからダウンロードできます。
ファイナンシャルプランナーの立場からは、こういった人生の転機でお金について不安がある場合はそれをまず形にしてみることをおすすめしています。
形になると、不安が安心に変わりますよ。